愛犬が歯磨きを嫌がる…。その失敗の要因とは?知ってほしい6か条。獣医師が解説

うちのコに歯磨きなんてムリ!という飼い主さんも多いのではないでしょうか。でも、失敗の大半は飼い主さんのあせりすぎ。きちんと段階を踏んで取り組めば、愛犬も歯ブラシを受け入れてくれるようになります。歯磨きは大切な健康管理、あきらめずにチャレンジしてください。

<監修>獣医師:中村恒彰

歯ブラシケアへの準備レッスン

「口のまわり」→「口の中」→「歯並び確認」の順で慣らしていきます

たいていのわんちゃんは、口元を触られるのが苦手です。そこで、まず口元に触られるのに慣らすことから始めましょう。

  1. ふだんのスキンシップのついでに口のまわりを軽く触ってみて、触らせてくれたらごほうびをあげる、をくり返します。
  2. できるようになったら、次は口の中に指を入れて、歯や歯肉に触ってみます。指に肉汁や好みの味の歯みがきジェルをつけてもかまいません。
  3. 慣れてきたら、指を奥のほうまで入れて、歯並びや形状を触って確かめます。確認しておくことで、後に歯みがきをするとき、奥のほうがよく見えなくても歯列をイメージしながらみがけます。
口まわりを触れるようになったら、口の中に指を入れてみる。

歯みがきシートで、こすりみがきにチャレンジ!

口の中を触らせてくれるようになったら、歯みがきシートでこすりみがきをしてみましょう。シートだと飼い主さんの指の感触が感じられるため、歯ブラシよりわんちゃんの抵抗感が少ないんです。

歯みがきシートは、抜けないように指にしっかり巻き付けて。最初は軽く歯に触れる程度で、ゴシゴシこすらないこと。前歯から始めて、嫌がらないようなら、少しずつ奥歯へと進めていきます。

歯みがきシートは指にしっかり巻きつけて。

完ぺきをめざさず、まずはできる範囲でみがこう!

わんちゃんが口を大きく開けてくれないときは、上顎の左右の犬歯の後ろに指を入れると自然に口が開き、下の奥歯までみがきやすくなります。ただし慣れるまではムリをせず、みがける範囲にとどめましょう。

また理想は歯の裏側までみがくことですが、裏側は慣れないと至難の業。わんちゃんはしょっちゅう舌を動かして内側の歯垢を取り除いているので、裏側はそれほど歯石が付きません。まずは表側をきれいにすることを目標に。

マズルの上から犬歯の後ろに指を入れると、自然に口が開く。

歯ブラシケアへのレッスン

歯ブラシは、鉛筆を持つように「ペングリップ」で

歯みがきシートによるこすりみがきができるようになったら、いよいよ歯ブラシによるお手入れです。歯ブラシはペット用のものがおすすめ。

人用の歯ブラシは毛先が硬すぎますし、ブラシのヘッドが大きすぎるとうまくみがけません。

歯ブラシの持ち方は、鉛筆を持つように握る「ペングリップ」が適しています。力が入りすぎず、細かいところまで磨け、コントロールしやすいです。

歯ブラシの持ち方は鉛筆を持つようなペングリップで。

45度の角度で歯ブラシをあて、横方向に少しずつ動かします

歯ブラシは、歯と歯肉の間の境目に45度の角度であて、横方向に少しずつ動かしながら1本ずつみがいていきます。歯周ポケットに毛先を入れて、歯垢をかき出すように動かすのがコツ。

できれば、毎日すべての歯をみがきたいですが、慣れないうちはわんちゃんの集中力が続きません。今日は左側、明日は右側…など、分割してみがくのも手です。わんちゃんの歯垢は3〜5日で歯石に変化してとれなくなってしまうため、少なくとも3日でひととおり終わるようにしましょう。

45度の角度で横方向に少しずつ動かしながら

歯みがき嫌いにさせないためのポイントは、ココ!

飼い主さんがあせってムリ強いすると、わんちゃんが歯みがき嫌いになって二度とさせてくれなくなります。歯みがきは、ムリせず気長に取り組むことが成功のポイント。そして、できないからと早々にあきらめないことが大切です。初めての方も、これまでうまくいかなかった方も、今日からぜひ練習を始めてみてください。

歯みがき嫌いにさせないための6か条
  1. マズルをつかんで叱らない。口元を触られるのを嫌がるようになります。
  2. わんちゃんが緊張しないよう、歯みがきは遊び感覚でリラックスして。
  3. 「マテ」→「ちょっと歯みがき」→「ごほうび」のくり返しでケアを。
  4. 「苦手なこと」は「うれしいこと」とセットで。歯みがき後のごほうびやお散歩で受け入れやすくなります。
  5. 興奮しやすい子は、お散歩でイライラを解消してから歯みがきを。
  6. 歯みがきの習慣化には1ヵ月以上かかることも。早々にあきらめないで。

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